ずっと夢見てた富士登山チャレンジの日
午前の意気揚々 と 午後の意気消沈
そして
余儀なくされた深い反省
やっと、気持ちの整理がついたので書きます。
富士山に登りたい!
令和6年7月10日 ついにやってきたチャレンジの日
早朝に小田原のホテルを出発して、富士宮駅に着いたのは7時30分
8時15分発の登山バスに乗車します。
それにしても外国人の方たちが多い、8割ぐらいがそうだろうか・・・、
臨時便が追加され2台で出発しました。
何となく聞いてはいたのですが、本日は静岡側登山ルートの開山日、イベントがあるようです。
ホントは早く登山口に向かいたいのですが、半強制的にバスが停車、浅間大社で安全祈願祭に参加です。
それにしても日差しがきつい、そして暑い、ピーカン天気です。
まだこの時は山頂ははっきり見えていました。
ワクワク感で、ちょっと浮足立っているのが自分でもわかります。
いざ! 山頂へ!
富士宮ルート登山口へ到着したのは10時10分ごろ、予定よりも40分近い遅れです。
ココはすでに2,380mの高地、はやる気持ちを抑えて、登山靴の紐を締めなおしたり、ザックの中を整理したり、のらりくらりしながら高度順応のために時間を消費しました。
そしてついに夢にまで見た富士登山、
令和6年7月10日11時00分
富士宮ルート5合目登山口よりスタート!
午前の意気揚々
この時はまだ意気揚々としておりました。
午後の意気消沈
結論から言いますと、この日の天候の急変は山小屋のスタッフでさえ驚くものだったのです。
八合目御来光館ではかなり視界が悪くなってきました。
あんなにいた登山客はいったいどこに行ったのだろう?
それでも前後数名が山頂を目指している状況、大丈夫、いける!
登山計画では山頂、お鉢めぐり、夕日見ながら御殿場ルート下山、1時間後に山小屋泊という計画。
雨風徐々に強くなり、山頂に近づけば近づくほどに状況は悪化していきます。
当然お鉢めぐりはあきらめ、とにかく山小屋へ一目散という行動に切り替えます。
ですが、ここまで来たら山小屋へ行くのに山頂を経由せざるを得ません。
もはや、山頂に立ってもただの通過点でしかない状況です。
視界が悪いせいもあって山頂で少し迷いましたが、御殿場下山ルートで早々に下山開始。
予定では1時間もしないうちに山小屋があるはずです。
ですが、下山開始と同時刻ぐらいから、生命の危機にかかわる荒天に見舞われます。
とにかく先を急ごう!
いまだかつて経験したことがない暴風雨の中、飛ばされないように一歩一歩慎重に下山します。
状況は刻一刻と悪化し、楽観的思考の一切が吹き飛びました。
大きな岩につかまってないと体を持っていかれます。
砂ではない小石クラスが、マシンガンのようにカッパを打ち付けます。
風が弱まる瞬間ごとに、10歩20歩と進むことを繰り返すうちに、体力がなくなっていくのがよくわかりました。
人工物らしきものを遠目で確認し、それが休館中の山小屋跡地だったことに絶望して岩陰に隠れてへばっていると、なんと人の声が、
「オオバンさんですか?」
「あ、はい!」
なんと山小屋のスタッフがリスクを冒して迎えに来てくれたのです。
「山小屋まであと15分ぐらいですよー、頑張って!」
こう言う言葉に励まされながら、
こういう言葉があるおかげで、
頑張れました。
フラフラのオオバンは、山小屋スタッフに腕と腰を鷲掴みにされながら、何とか歩いて山小屋にたどりついたのです。
余儀なくされた深い反省
山小屋に到着後、制御できない体の震えと股関節の痛みに耐えながら、山小屋のスタッフと居合わせたお客さんが介抱してくれました。
服を脱がし、着替えを着せて、こたつに運ばれ、熱いペットボトルで体を温め、介抱してくれたのです。
本当にありがたいことです。
もしかしたら、山小屋の手前数十メートルで息絶えてた可能性もあったと思います。
それほどに壮絶な風でした。
人間というものは不思議なもので、
あれほどに制御できなかった震えも、30分ぐらい体を温めただけで普通に元に戻るのです。
ですが、紙一重だったということに変わりはありません。
落ち着いてからLINEをみると、家族から着信の嵐、
後で知ることになるのですが、この時の富士山天候急変、遭難死者のニュースが全国版で報道されていたのです。
家族から、特に娘から徹底的にやられました。
「深ーい、反省」です。
なぜ9合目で山頂をあきらめなかったのか⁉
富士宮ルート8合目から御殿場ルートへ接続するトラバースルート(山頂を迂回ルート)というのは調べていたんです。
ですが、当事者として行動に間違いはなかったと思いたい・・・、
の、
ですが・・・、
ですが・・・、
深ーい、反省をします。
富士山、やむを得ず下山
こうして、夢にまで見た富士登山が終わろうとしています。
翌朝再度山頂へっと、いう願いも荒天収まらず、下山しか選択肢はありません。
ほかの登山客もあきらめて早々に下山を開始していきました。
しっかり朝食をとって、オオバンも下山開始です。
日が上がって、風のピークは過ぎた模様、それでもまだ足元をすくわれそうな風が吹き荒れるときがありました。
こうしてオオバンの富士山登頂は苦い経験となって記憶に残りました。
御殿場登山口でバス待ちをしていたのですが、心優しい女性の声掛けでタクシー相乗りすることになりました。
その女性は強風で8合目山小屋予約を変更し、7合目に切り替えて荒天をしのいだそうです。
高山登頂実績を持つその女性は、マシンガンのように飛んでくる小石に、「ヘルメットがあってよかったー」、っと言っていました。
山頂に立ったというオオバンの話に驚くとともに、壮絶な昨夜の話もしました。
沈黙の後、女性が問います。
「でも、山はいいですよね!、また、山、登りますか?」
即座にオオバンは答えます。
「はい! もちろん!」
こうして、富士のふもとを振り返りながら、名残惜しく富士登頂計画は終了しました。
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